はじめに

人々が中心となるwellbeing基盤~PeOPLe~

インターネットの普及とIoT・AIといったICT技術の加速時な進化は、私達の個人データをreal world dataとして集積可能にし、データが個人生活にも深く関わりを持つようになってきました。世界経済フォーラムも2011年に「パーソナルデータは、インターネットにおける新しい資源であり、デジタル世界における新たな通貨である」とする報告を出しています。

このパーソナルデータ活用の潮流は、世界的に個人を軸とした情報基盤の構築へと向かいつつあります。法制度面では、EUにおける一般データ保護規則(GDPR)を筆頭に、米国においても CLOUD法の制定や消費者プライバシー権利章典の法制化等、世界中でいかにデータを保護し、活用するかの議論が活発に行われています。

我が国においても、情報社会に続くSociety5.0として、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合した人間中心の社会を目指すものとされ、健康医療分野のデータ活用に向けては、PeOPLe(Person centered Open Platform for well-being)が提唱されました。

国連のSDGs(持続可能な開発目標)の目標3である、あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進するための基盤としても、 PeOPLeは期待されています。

社会実装を目指す新たな価値

IoTの進歩によって世界中のこの瞬間にもこれまでにないほどの量のデータがあらゆるところで生み出され、蓄積され続けています。ヒトやモノの状態を計測するデイバイスが次々と誕生し、今までにみることのできなかった状態、さらには近未来の予測も可能になってきました。日々生み出されるデータをAIが解析し、 生活者に「よりよい行動」「よりよい生活」を提案し、一人ひとりが自分に最適なWellbeingを手にする世界が確実にやってくるでしょう。「PeOPLe」共創・活用コンソーシアムによって 、個人に最適な健康・医療・介護サービスを提供するために最適なデータ利活用の仕組みを整えることができます。これによりデータを一部の人々が独占し社会をコントロールするのではなく、データを共有財産として様々な社会課題の解決に向けて活用し、イノベーションを牽引する多様なプレーヤーの創出 、巻き込みができ、 社会実装・ビジネスヘの活用が実現します。

「PeOPLe」共創・活用コンソーシアムが描く技術・システム革新シナリオにより、時間・場所によらず人々 をサポートすることが可能となります。このシナリオを通じて 、高齢化・人口減少時代に直面した日本だけ ゙なく、世界の様々な人々と連携を行い、新たなテクノロジーを活用して日本発の社会システムが世界を支え、同時に日本の未来を切り拓きます。

国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)
「研究成果展開事業 産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)」(OI機構連携型)
研究領域:人々を軸にあらゆる情報をオープンに活用する基盤「PeOPLe」によるライフイノベーションの創出
領域統括
PeOPLe共創・活用コンソーシアム運営委員長
宮田裕章 (慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学教室 教授)